イベント開始時点の様子はこんなかんじ。かなり沢山の方が参加されていました。
プログラムはこんな流れでした。
1.Code for Japan紹介(Code for Japan代表理事 関 治之さん)
2.経産省DXの取り組み(経済産業省情報プロジェクト室 室長補佐 吉田 泰己さん)
3.制度ナビPJ紹介&デモンストレーション(経済産業省中小企業庁 松原 匠さん)
4.民間から見た行政のサービス開発(ギルドワークス株式会社 代表取締役 市谷 聡啓さん)
5.民間による行政サービスのアジャイル開発(株式会社グラファー 代表取締役 石井 大地さん)
1.Code for Japan紹介(Code for Japan代表理事 関 治之さん)
・モチベーション行政内のアジャイル開発の実践知を広く伝えることで多くのチャレンジが生まれて欲しい
・CFJとは?
https://www.code4japan.org/
データアカデミー(行政のデータリテラシー向上)とアジャイル開発推進に取り組んでいる
・なぜ行政でアジャイルが必要か?
✓最初から完璧な仕様はかけない
✓プロジェクト失敗リスク大
✓プロセスのモジュール化とアジリティの獲得
1.5.スマート公共サービス官民協議会から(New Stories代表 太田直樹さん)
・未来投資会議 産官協議会政府の基本戦略の出発点であり、将来成長に資する分野投資についての大枠を決めている。
なぜGovTechが重要か→http://kozatori7.hatenablog.com/entry/2019/04/17/103136
・LGWAN問題
概要はこちら
行政システムをインターネットから分離したために、パブリッククラウドの利用が進まず、外部サービスとの連携は生まれにくい。
・GovTechの兆し
会津若松市は、行政サービスの利用者DBを民間サービスと共有する(会津若松プラス)ことでサービスの充実化を図る
4919は民間からもデータ集めてオープンデータを育てるという動き
⇒これらの動きを受け、自治体向けアプリマーケットを構想中
2.経産省DX室の取り組み(経済産業省情報プロジェクト室 室長補佐 吉田 泰己さん)
・問題意識行政サービスと民間サービスのクオリティ差が大きい
→DXでやること
✓国民・事業者にとって便利な行政サービスの実現
✓職員の効率的・効果的な業務の実現
・ユーザー中心の行政サービスへの移行
ユーザー視点でサービスデザイン×ユーザニーズに対応した開発×EBPM
⇒良いUXを提供することでデータを集める→そのデータを元にUXを改善していくというのをやりたい
・経緯
2018年7月にDXオフィス立ち上げ
→行政官はITリテラシーがないので民間のIT人材を登用し推進
・具体的な取り組み
法人デジタルプラットフォーム構想
・法人インフォを作った。他行政データを紐づけたり、API提供したりを進めている
・gBizIDにより、行政サービスへのログインを簡易に。
・補助金フローを改革。jGrants電子化(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai3/siryou3.pdf)
→今年度:中小起業支援プラットフォームの構築
・中小企業個々にパーソナライズされた支援をしたい
・目指す方向性
✓行政サービスが社会に溶け込んだ世界
✓サービスデザイン思考とアーキ思考の両立
✓行政描けるtechを実現するエコシステム
3.制度ナビPJ紹介&デモンストレーション(経済産業省中小企業庁 松原 匠さん)
・体制中小企業庁+DX室+CFJ+ギルドワークス
・「制度ナビ」とは?
補助金情報を取得できるアプリ
なぜ作ったのか?→中小企業庁でも適切な支援制度を探せる気がしなかったから
・従来、補助金はどのように検索されていたのか?
ガイドブック(通称「茶本」)による検索
ミラサポの施策マップ→最初に地図から検索するけど、地域と国両方の補助金をまとめて探せない
→ただ、改めてユーザーのニーズを言語化すると「お金がもらえればOK」というもの。
→ユーザー目線のアプリ開発をしたいと思い、アジャイル開発をはじめた。
・やってみてよかったこと
インセプションデッキつくって方向性整理
中小企業訪問してUTしてUI改善
機能ごとの深い議論
・直面した3つの制度問題
1)定義問題
中小企業の定義は制度や法律で違う。さらに、創業者や業種、先進的などの単語→ルールブック上は書いてないけど補助金の説明会で分かるものとかがある
2)補助金リテラシー問題
交付要綱が分厚すぎるので読みきれない(80ページくらい)。
ルールも複雑(悪用されないように)。
毎年変わる(※毎年変わるのは「役所として何か新しいものを作らなければ」という使命感もあり)
3)データ問題(1番重要)
アプリの実証に使える補助金制度のデータがなかった。
集めようと思ったら形式とかがバラバラだったり、外部事業者へ委託しているために電子データが役所に存在しないというケースが頻発。
・今後どうしていくのか?
✓行政の中の人が上記問題を意識する
✓利用者側(市民)もこれが不便なことなのだと気付き、訴えていく
→DXの取り組みをキッカケにみんなで変えていきたい
4.民間から見た行政のサービス開発(ギルドワークス株式会社 代表取締役 市谷 聡啓さん)
・出発点
「ミラサポをアジャイル開発でリニューアルしたい」という要望をもらう
→アジャイル開発は銀の弾丸ではない。したがって、アジャイル開発の意義を認識合わせ。経産省側の期待に合っているのか?をすり合わせ
→価値探索をプロジェクト活動に組み込むことに。
→価値探索の結果:ユーザーである中小企業は「その補助金が自分が使えるものか分からない」→探さないUXを志向
・直面した課題=プロダクトの全体感欠如
ミラサポ、制度ナビ、事例ナビという関連する行政サービスが複数あり、それぞれで担当組織が分かれてしまったことでスケジュール不整合
・データの境界は組織の境界問題
支援策のデータ的更新が容易じゃない
データの更新が時間かかりすぎる
⇒結果、サイトは一般公開しないという判断をした
→今後、具体的には3アプリ合同でユーザーテストをやり、改めて価値探索をする。
5.民間による行政サービスのアジャイル開発(株式会社グラファー 代表取締役 石井 大地さん)
200兆円:国内の人件費総額⇒10兆円:行政手続きに関する業務で企業が負担している人件費=取りに行きたいマーケット
→市民が求める行政サービスを民間で作ればよいという発想で、
・Graffer法人証明書請求
・Grafferフォーム
を提供。最近は、自治体公式の手続きガイドというサービスも提供を始めた。
これらを3.5人で開発しているとのこと。
スピード感がすごい...!
※Grafferさんについては、以前ブログでも取り上げさせていただきました。もしよろしければどうぞ→オープンデータを活用したサービス事例
さいごに。イベント全体を通じて
行政の中の人が具体的な失敗例や課題を話してくださる場はなかなかないので貴重な機会でした。「自分にぴったりな補助金が見つかる」を実現すべく試行錯誤した過程を赤裸々に話してくださった中小企業庁×ギルドワークスさんの話、テクノロジーをフル活用して市民に使われる手続サービスを作り行政を変えようとしてるグラファーさんの話、どちらも面白かったです。
最後のパネルトークでもありましたが、中の人が行政課題をオープンにしていくことが、民間から何ができるのかを考えるキッカケになるし、他省庁・自治体をオープンにしていくことにもなるはず。
次回以降の継続的な開催を期待しています!
その他(参考までに、当日の様子)
・slidohttps://app2.sli.do/event/4uczrmez/live/questions
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#GovTechJP
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