サイトのログインなどで、パスワードを忘れてしまったときに出てくる「好きな食べ物は?」「母の旧姓は?」的な質問がありますよね。まあ、正直に言えばそれとは全然関係ない話なんですが、今日たまたま「祖父の職業は?」という質問が僕の頭の中に浮かんだので、それに答えようと思います。
ぼくのじいちゃんは、服飾デザイナーであり、経営者でした。
祖父もふくめ、祖父の兄弟は広く言えば、みな起業家です。上は私立探偵をやっていて、下は不動産会社を経営し、真ん中のじいちゃんは紳士服をつくってました。そんな具合です。
じいちゃんは3年前、ぼくが大学4回のころに亡くなりました。突然すぎて意味不明でした。ぼくはじいちゃんのことが好きではなかったので、ここしばらく会ってませんでした。そんななかの突然の訃報でした。
言うの2回目ですが、ぼくはじいちゃんが嫌いでした。ほんと自分のことしか考えてないし、自分の言いたいことを言いたいときに言いたいだけ言うし。自分の思い通りにならんとめっちゃキレるし。
ここで、むかしのエピソードを2つほど。
エピソード1:小学2年くらいのころ、弟と一緒に天王寺動物園に連れて行ってもらったが、そのときにジュースを買ってもらった。当時ジュースを買ってもらう機会は滅多になかったので、すごく大切にちびちびと飲んでいたら、「おそい!」と言われ、まだ残ってるのに捨てられたw
エピソード2:高校生のとき、なぜかスナックに連れていかれ、一興としてなんか歌えと言われたので、たしか、コブクロをステージで歌った。ママさんとかは「うまいね!」と褒めてくれたけど、じいちゃんにはボソッと「JPOPはホンマ長いな。」と言われたwけっきょく、じいちゃんばかり歌っていて、ワシうまいやろ的なドヤ顔をするじいちゃんをひたすら褒める会になったw(実際じいちゃんは歌がかなり上手く、三重県ののど自慢で金賞をとるレベル。そんな良い声で「孫」とか歌いやがるわけです。なので余計腹がたった。)
まあ、そんなこんなでじいちゃんは非常にめんどくさい人だし嫌いだ、とぼくは思っていて、じいちゃんに携帯の番号を聞かれてもずっと、携帯持ってないキャラを押し通してました。それくらい避けてました。
そんなじいちゃんが死にました。お葬式です。親戚がやってきます。そして彼らももちろん、じいちゃんに色々やらかされた人たちです。そんなメンバーで集まったお葬式。
そこで、親戚はみんな、じいちゃんが無茶苦茶やったという話をするわけです。じいちゃんは相当ワガママだったので、言ってしまえば1人1エピソードくらいあるわけです。みんなが交互に迷惑を被った話を始める。その話がいちいち面白い。葬式やのに、みんな笑ってました。ひどいじいさんやったでーとか言いながら。ぼくは、そのときふと、うわあ、このじいさんすごい愛されてるな、と思った。ああ、僕が死んでも誰かこんな葬式やってくれるのかなあ、やってくれるといいなあ、と思いました。
死んだら元も子もないのでアレですが、少なくとも、死んだ後にじいちゃんみたいな愛され方(正確には、じいちゃんよりは嫌われない感じでw)をみんなからされていることを想像できる、そんな生き方ができた。死に際にもしそう思えるなら、ぼくの人生はすごく幸せだったと思える気がします。
みんなに笑ってもらえる葬式をやってもらえるか。ぼくの生き方を決めているのは、あの時からずっとこれです。
結局のところ、ぼくはじいちゃんにすごく似ているのだと思います。だからなんかムカつくし、めんどくさいなコイツと思う。
色々あって今年のお盆はお墓参りできなかったので、じいちゃんについて書いてみた。
ワガママでほんと面倒くさくて、でも何だかんだ愛されてた僕のじいちゃんのはなし。